ストレイ・キャット☆シュ-ティング・スタ-
『美帆子。二十五歳。女性。O型。気の合うひととメ−ルで仲良くなりたいです。遊びにも行きたいな。よろしく♪』

 アイコンになっている似顔絵。キャッチコピ−・楽しく生きること。性格をひとことで・大ボケ(笑)。好きなもの・カラオケとか…。はまっていること・お酒。似ているもの・イヌ系かな。体系・ちょっと太め。自己診断・きれい度・3。甘えた度・5。かわいい度・2。笑い度・4。おしとやか度・3……ひとこと・長く付き合いたいです。見た目とか気にしない方、メール下さい。

 美帆子という女性の書き込みを読んで返信する。何を基準に選べばいいのか、わからない。顔アイコンか、性格か? とにかく博打みたいなものだと思って、メールを返してみる。カチャカチャとキ−ボ−ドを打つ音がこだまするように、部屋中に響き渡る。

「かわいい度が2ってのが気になるかなぁ。でもきっと謙遜しているんだろう」
 勝手に想像力を働かせて考える。
 
 まだ見ぬ君にこころ震わせて。

『美帆子ちゃん、ショ−ゴです。今日初めて登録しました。そして初めてメールを送りました。色々話したいですね。よかったら返信下さい。』

 メールを送信する。マウスをクリックする右手が、小刻みに震えている。

「敬語ってところがおかしいかな?」

 画面に送信完了の文字。ぼくは生まれて初めて、サイト内の見知らぬ女性にメールを送った。
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