ストレイ・キャット☆シュ-ティング・スタ-
午後十時。夕食をコンビニエンス・ストアの弁当で済ませて、ベランダに出て黒い空を見上げる。雨は降ってはいないから、きっと星空だろう。
風は肌をなぞるようにゆっくりと吹いていて肌寒い。きっと今頃、久留美は彼氏の腕の中だろうと勝手にこころを痛めて、ぼくは部屋の中に戻った。
三上とサイトゲームを始めてちょうど十日経った。その間にぼくは、何人かの女性とサイト内で会話した。サイト外で会話まで扱ぎ付けられたのはわずかにふたり。最初に画像交換した美帆子。あれからメールは一度も来なくて、よほどぼくのリアクションが相手の気持ちを害したのだろう。ただ、もう一枚写真が欲しいといっただけなのに……。
そして今、ぼくが夢中になろうとしている久留美というとてつもなく、美しい女性。今のところ順調にメールを交わせている。理想としては一週間以内に口説き落として、SEXまで持ち込みたいと思っている。しかし、久留美の書き込みの内容はメル友募集。ぼくがそんなことを思っているなんて彼女は考えてもいないだろう。
SEX……。珠希が子供を身ごもってから、ふたりはほんの数回、身体を重ねただけでもう随分ご無沙汰だ。そして、ご無沙汰になろうとも昔ほど、そう、十代後半から二十代前半のときのようにガッツくこともなく、それなりに落ち着いた年齢になり、身体のほうも落ち着いてきたようだ。珠希と出会った当初、ぼくは、その欲望と迷いと悩み、すべてをソレにつめ込んで肉体の限界に挑むかのように吐き出していた。珠希自身も母性の塊と化して、ぼくの、がむしゃらで不器用な愛情を受け止めてくれていた。珠希の身体は突き抜けるぼくの欲望を海のように深く、空のように広い愛情で包み込んでくれていた。
珠希への愛情が真愛だとしたら、サイトをむさぼり、今ある欲望の膿を吐き出そうとしているのは愛でない。
ぼくはただ、その場かぎりや、寂しさを埋める相手を欲しているのだ。そして、サイトに入ったのは三上との暇つぶしであって、こんなところで出会った相手にこころの内側や感情を話せるはずはないと思っていた。
子猫がぼくの懐に入り込む。
風は肌をなぞるようにゆっくりと吹いていて肌寒い。きっと今頃、久留美は彼氏の腕の中だろうと勝手にこころを痛めて、ぼくは部屋の中に戻った。
三上とサイトゲームを始めてちょうど十日経った。その間にぼくは、何人かの女性とサイト内で会話した。サイト外で会話まで扱ぎ付けられたのはわずかにふたり。最初に画像交換した美帆子。あれからメールは一度も来なくて、よほどぼくのリアクションが相手の気持ちを害したのだろう。ただ、もう一枚写真が欲しいといっただけなのに……。
そして今、ぼくが夢中になろうとしている久留美というとてつもなく、美しい女性。今のところ順調にメールを交わせている。理想としては一週間以内に口説き落として、SEXまで持ち込みたいと思っている。しかし、久留美の書き込みの内容はメル友募集。ぼくがそんなことを思っているなんて彼女は考えてもいないだろう。
SEX……。珠希が子供を身ごもってから、ふたりはほんの数回、身体を重ねただけでもう随分ご無沙汰だ。そして、ご無沙汰になろうとも昔ほど、そう、十代後半から二十代前半のときのようにガッツくこともなく、それなりに落ち着いた年齢になり、身体のほうも落ち着いてきたようだ。珠希と出会った当初、ぼくは、その欲望と迷いと悩み、すべてをソレにつめ込んで肉体の限界に挑むかのように吐き出していた。珠希自身も母性の塊と化して、ぼくの、がむしゃらで不器用な愛情を受け止めてくれていた。珠希の身体は突き抜けるぼくの欲望を海のように深く、空のように広い愛情で包み込んでくれていた。
珠希への愛情が真愛だとしたら、サイトをむさぼり、今ある欲望の膿を吐き出そうとしているのは愛でない。
ぼくはただ、その場かぎりや、寂しさを埋める相手を欲しているのだ。そして、サイトに入ったのは三上との暇つぶしであって、こんなところで出会った相手にこころの内側や感情を話せるはずはないと思っていた。
子猫がぼくの懐に入り込む。