ストレイ・キャット☆シュ-ティング・スタ-
「柏原省吾さん、どうぞ」
思いのほか早く順番が回ってきて、五十代くらいの看護婦がぼくの名を呼び、ぼくは診察室に入った。
診察室の中には、先の患者が診察を受けている。自宅近くに在る眼科医だが、診察を受けるのは初めてだった。老眼鏡を掛けた年老いた先生が診察をしている。
診察室に入って十分ほど経っただろうか、ようやく自分の番がやってきた。
「柏原省吾さんですか?」
「はい」
「どうしましたか?」
年老いた先生は初めて来院したぼくのカルテを手に、目を細めている。
「……先生、ぼくの視力のことなんですが……」
「うん、視力が?」
ぼくは堰を切るように家族以外の人間へ、初めて自分の視力異常を話し始めた。
ぼくの告白を聞いて看護婦は目を丸くして驚いたが、その年老いた先生は無言で首を傾げた。
「何か大きなショックを身体に受けると、声が出なくなったり、耳が聞こえ辛くなったりすることがあります。しかし視力の一部が欠落するという事例は初めて聞きましたね」
先生はライトをぼくの眼球に当てて、診察をする。
思いのほか早く順番が回ってきて、五十代くらいの看護婦がぼくの名を呼び、ぼくは診察室に入った。
診察室の中には、先の患者が診察を受けている。自宅近くに在る眼科医だが、診察を受けるのは初めてだった。老眼鏡を掛けた年老いた先生が診察をしている。
診察室に入って十分ほど経っただろうか、ようやく自分の番がやってきた。
「柏原省吾さんですか?」
「はい」
「どうしましたか?」
年老いた先生は初めて来院したぼくのカルテを手に、目を細めている。
「……先生、ぼくの視力のことなんですが……」
「うん、視力が?」
ぼくは堰を切るように家族以外の人間へ、初めて自分の視力異常を話し始めた。
ぼくの告白を聞いて看護婦は目を丸くして驚いたが、その年老いた先生は無言で首を傾げた。
「何か大きなショックを身体に受けると、声が出なくなったり、耳が聞こえ辛くなったりすることがあります。しかし視力の一部が欠落するという事例は初めて聞きましたね」
先生はライトをぼくの眼球に当てて、診察をする。