ストレイ・キャット☆シュ-ティング・スタ-
 久留美にメールを送る最後の日。ぼくは、客先に用が有る訳でもないのに、営業車で街に出た。

 三月半ば、さくらの花びらも咲き乱れ、ぼくのこころの中も乱れていた。気持ちを押さえようとすればするほどに、大きくなってくる久留美への想い。出会い系サイトで、しかも、三上という悪友とのゲームが原因で、今の自分は逢ったこともない女に、こころを見失ってしまった。

「サイトに来る娘って、彼氏が欲しい娘や、SFが欲しい娘ばっかりじゃないんだ」

 車の中、リクライニング・シートを倒して、Hunting・friendにログインする。三上に教わってから、何度も見たこの画面。ぼくは相手を捜す訳でもなくサイトの中に入った。

 たくさん並んだサイトの書き込みをよく見てみると、意味有り気なコメントが多いことに気付いた。
 彼氏やSEX・friendが欲しい娘ばかりではなく、そんな男と女の繋がりを超えた関係を欲している娘も多いみたいだ。

 久留美もその中のひとり……。

 ぼんやりと携帯の画面を見ていたら、久留美からのメールが届いた。

『ショーゴ君、わたしは今、こんな身体になっちゃってるから、ショーゴ君の気持ちには応えられないです。今、わたしは、自分でも解らないくらいに変になっちゃってるよ。だからごめんね。メールの有無はショーゴ君が辛いなら仕方ないね。うん……任せます。』

「ふ~」

 フロントガラスに映る景色を見ながら、ため息ひとつ。久留美とのメールはやっぱり今日で最後にしなければいけない。久留美に抱いた仄かな感情を整理出来ないままの自分にいい聞かす。

「今日、最後にするんだ!」

 ぼくは、こころに誓った……。

< 66 / 103 >

この作品をシェア

pagetop