ストレイ・キャット☆シュ-ティング・スタ-
 真っ暗な闇に浮かぶ、生まれたままのぼくと久留美。ちいさな星たちはふたりの周りを軽やかにダンスする。数え切れないほどのちいさな星たち。

「あれは水星?」

 太陽に一番近い惑星の横を、ぼくと久留美が重なり合ったまま通り過ぎると、ふたりの肌から汗が噴き出してきた。ぼくは久留美を気遣って太陽の熱を避けるように体勢を変える。

「熱い? 久留美ちゃん」

「ショーゴ君熱いよ」

 久留美はぼくの腕の中でちいさくなる。

 普段、太陽の光りで隠されている水星は、その姿をぼくたちに見せ付けるかのように光り輝いている。

「あの星は、あれはなんだろう?」

 艶っぽい声を上げ、久留美がささやいた。額に薄っすらと汗が見える。ぼくは少しだけ力を込めて、久留美を抱きしめる。

「金星だよ」

 地球に似たその惑星は、瞳を開けてはいられないほど光りを放っている。

「太陽と月を除いて、一番明るい惑星なんだよ」

「そうなんや」


 ふたり重なったままの宇宙旅行は、止むことなく続いた。


 火星が不気味な紅色を発して、ぼくたちを見下ろし、巨大な木星がふたりのすぐ側を通り過ぎる。

「大きかったよね」

「うん」

 すると大きなドーナツが、ぼくたちに近付いてくる。
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