変わりゆく華たち 第一幕 散ル華







まさか、な…。



全身から血の気が引いていく。




着替えさせられたとかないよな?



だとしたら困る、普通に困る!


まずいつ着替えさせられた?

誰に着替えさせられた?



…いつ、と云ってもおそらく此処に着いたとき、だよな?



いや、そんな事よりも重要なのは誰が着替えさせたかだ!


聞いての通り一人称は『俺』。


そして容姿は男装。


つまり、ある一部の人間を除けば俺は男と見られている。


奴らと殺り合いかけた時だって、俺は男として見られていたはずだ。



それをどうだ。


奴らに見られたとしたら……




「あの…入ってもいいですか?」



畳にしゃがみ込んでいると、廊下から控えめに声がかかった。



「え…あ、どうぞ?」



スッ――と襖が開く。


そこにはまだ幼さが残る背の低い男がいた。


茶色い髪は頭の一番高い所で結っている。



< 54 / 108 >

この作品をシェア

pagetop