変わりゆく華たち 第一幕 散ル華
暫くの間沈黙が続く。
俺は目の前にいる男を真っ直ぐ見つめた。
よく見ると手足は細いが、程良く筋肉が付いている。
顔立ちも可愛い、そう呼ばれる種類に入るだろう。町娘に人気がありそうだ。
そして女装なんかでもさせたら、女として通るだろう。
ああ、なんで俺はこういう顔立ちにならなかったんだ。
母様は綺麗だったな。
父様はかっこ良かった。
「あの、俺ひじか…副長のところに行って、貴方が起きた事を伝えてきます。なので貴方はこのままこの場所に居てください」
そう言うとお辞儀をして早々と出て行った。
見過ぎたか…
『ひじか…』
確かそう言ってたよな。
昨日の奴の一人か。
やたら怒りっぽい人間だったほうだ。