変わりゆく華たち 第一幕 散ル華
呼んでくるのか?
それとも俺が呼ばれた所まで行かなきゃならないのか?
どちらにせよ面倒だ。
どうせくだらないことを聞かれるだけだろう。
さて、もう出る準備はできているな。
長着と袴は諦めよう。
そうだ、刀があるだけで充分だ。
ついでに云うと、笠もないがそれもそれで諦めよう、我慢だ。
襖をゆっくり開ける。
……誰も、いないな。
部屋から廊下へ一歩、また一歩と踏み出す。
外はまだ陽が昇ってないらしく、暗いが月明かりがあるのでそこまでではなさそうだ。
ここから出てしまえば、あとは何とかなる。
あの男には悪いが、あいにく俺は此処に長時間いるほど暇ではない。
俺はこの“壬生浪士組屯所”の出口を探しに、先程までいた部屋から離れていった。
すぐに出口が見つかるだろうと思って−−−