変わりゆく華たち 第一幕 散ル華
こんな事になるなら始めから大人しく、部屋で待っとけばよかった……。
「はぁ…。…あ」
ふと外に目を向けると、それ程高くない塀があるのが見えた。
塀の高さは俺の身長、2つほどの高さ。
あれくらいの高さなら飛び越えられるだろう。
と思い、助走をする準備をした時、
「み、見つけました、よ…ハァ、ハァ…」
息を乱しながら駆け寄ってくる、見た事のある男が来た。
この男、先程来た奴か。
額には汗を少しかいている。
今は汗が流れる季節ではなく、お昼寝日和とも言ってもいい程暖かい季節。
となるとこの男は此処を走り回ったのか?
「俺と一緒に来てください」
乱していたはずの息はすっかり整い、俺の腕を掴んで歩いて行く。
「おい、どこに連れて行くつもりだ」
床に体重を掛けてみるが、あっけなく引っ張られて行く。
この細い腕のどこにそんな力があるんだ。
「おい、聞いてるのか!」
「聞いて…ますよ?局長の部屋に、これから向かうんです」
局長?
確か、口の悪かった奴が“副長”と呼ばれていたから……そいつよりかは立場は上という事なのか?