変わりゆく華たち 第一幕 散ル華
彰が言うにはこんな起こされ方をされたらしい。
俺らの時同様…とまでもいかないが、襖を遠慮なく開けては、出入口付近で寝ていた奴を足で起こして、
『おはよー。フフッ、ほらさっさと起きて。今日はいつもより早く稽古を稽古を始めるんだって。だから他の人も起こして早めに道場に来てね』
らしい。
…まあ、沖田組長とあんまり変わらないな。
「それにしても今日何で半刻も早いんだろうな?巡察組もそうだぜ」
「ね。テツもいたよね」
八番組である市村鉄之助も今日は早く起こされ、巡察のために身なりを整えて玄関に集まっていた。
ほんとに一体何があるんだ?
そんなことを思いながらいつの間にか着いた道場の扉を開ける。
「おはようございます」
一礼して顔を上げる。
「ちょっと〜、遅いよ〜」
「斎藤組長、すみません」
「日向も遅いよ。あ、罰として素振り二百回追加だからね☆」
「う…すみませんでした」
あれは冗談じゃなかったのか。
「フフッ、じゃあ稽古始めようか。
あ、でもその前に紹介する人がいるんだ」
ニコニコと微笑みながらゆっくりとした口調で斎藤組長はそう言う。
紹介したい人?
俺は隣にいる彰の方を向くが、彰も首をかしげている。
「ほら、“―――”くん、そんなところに寄りかかってないで」
誰なんだ?
名前がうまく聞き取れなかった。
沖田組長は壁に向かって手招きをしてる。
俺も彰も、そして俺らより先に来ていた隊士たちも沖田組長の手を追ってみていく。
そして、俺と彰は壁際に不機嫌そうに寄りかかっている人物を見て、ハッと息を飲み込んだ。