変わりゆく華たち 第一幕 散ル華
屯所脱出方法
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「一! 二! 三!……」
天気の良い中、壬生浪士組の隊士たちは元気よく素振りをしている。
因みに俺は近くにある木に
寄り掛かりながら稽古を見ている。
本来ならもう、この屯所から出てフラフラと歩いている筈なのに、どうしてここにいるのかというと昨日(今日)の夜に遡る。
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「ふむ、伊織くんがオナゴだったとはな…」
盛大に騒いだ奴らはやっと落ち着き始めた。
まあ、
「テメェら静かにしろよ?隊士たちが起きてきたらどうすんだ。もっと煩くなるだろうが」
と、般若のような顔で土方が言ってたからな。
それは誰だって黙るよな。
さて、今度こそ本当に帰ろう。
あれからどれくらい時間が経ったんだ?
早くしないと夜も明けそうだ。
そうなると俺は今日一睡もしないということになるのか。
それだけは勘弁したい。
「よし!!」
「「!!?」」
な、なんだいきなり。
なぜ急に大声で叫んでんだ。
「ちょ、近藤さん!静かにしてくれよ、頼むから」
土方は小声で近藤さんに怒鳴る。
近藤さんは近藤さんで、
「おお、すまんな」
と、笑いながら誤ってる。
いや、全然笑えないんですけど。
まだ心ノ蔵バクバクしているんだが。
「伊織くん、今日から我々とここに暮らさないかい?」
「「……えぇぇぇぇえ!!」」
近藤さんの唐突すぎる発言に、またこの部屋に大きな叫び声が響き渡った。