変わりゆく華たち 第一幕 散ル華
「うるせぇって言ってるんだよ!!」
土方はまた小さな声で怒鳴った。
よく怒るな。
いや、今はそんなこと考えてる場合じゃない。
近藤さんは何言ってるんだ。
「近藤さん、あんたは一体何を言っているんだよ。コイツは女なんだぞ。お、ん、な」
「そうですよ。それに此処は女人禁制ですよ」
土方と山南さんは一生懸命近藤さんに説明をしている。
さっきまで手に持っていた本を床に置いてまでも説明している。
それだけ衝撃を与えたのだろう。
それにしても此処は女禁制だったとはな。
まあ、そうだよな。
こんな男だらけの場所に女がいれば襲われるもんな。
「大丈夫だ。なんとかなるさ!」
近藤さんのこの言葉に土方と山南さんは額に手を当てた。
何を言っても諦めない近藤さんに呆れ始めたのだろう。
だが、ここで諦めるわけにはいかない。
このままだと俺は此処に住むはめになる。
それだけは何としても避けなくては。
「近藤さん、お誘いは有難いんですがお断りします。俺は別に此処で暮らさなくとも自分で生活できます」
そう、アノ日を堺に俺は今までずっと一人で暮らしてきた。
今更誰かの手を借りなくても一人で生きていくことができる。