変わりゆく華たち 第一幕 散ル華
「だとさ、近藤さん。コイツもこう言ってるんだし諦め……」
「いや、駄目だ」
近藤さんは土方の言葉をかぶせてそう言う。
あの、一体何が駄目なんですか。
「ど、どうしたんだよ。近藤さん。何が駄目なんだよ」
「とっ、トシたちはこんな小さなオナゴを、この物騒な町に出て行けというのか!?可哀想ではないか!!」
いや、あの、まず色々と言いたいことがあるんですが…。
いくら背丈が小さく見えるとしても、俺は十六歳。
そこまで子供じゃない。
それに“物騒な町”と言っても自分の身は自分で守ることは出来るので問題はないですし。
「見損なったぞ!!御上の民を守るのが我々の役目なんだぞ!!」
号泣…とまでもいかないが、泣きながら土方たちを説得している姿を見ると、どちらの立場が上なのかよく分からなくなってきた。
「だーーー!!!わーったよ。だから泣かないでくれよ。」
ため息を付きながら奴は衝撃の一言をいった。
「……神崎伊織。テメェは本日よりこの壬生浪士組のお預かりだ。異論は認めねぇ」
は?
「いや……」
「わーー、楽しみだなぁ。伊織ちゃん、よろしくね」
「うん、よろしくね。さて、そうと決まればいつもより早いけど稽古しようか。
さーて、隊士たちを起こしに行ってこよーう!」
と、斎藤と沖田は続けていった。