変わりゆく華たち 第一幕 散ル華
「だから俺と勝負をしろ」
勝負?
土方は刀を鞘に戻し、壁に掛かっている木刀を二本取り、そのうちの一本を俺に投げた。
「俺は道場で真剣を使って試合をしようとは思わねぇ。
神崎伊織。
この木刀を使って俺と試合だ。
テメェが勝ったらここから出て行ってもいいが、俺が勝った場合はここに残り、俺らの指示を聞いてもらうからな。
異論はねぇな」
フッ、試合ねぇ。
まあいいか。
せっかくだからその条件を呑んでやろう。
「ああ、異論はないな。
じゃあ…始めるか」
久し振りだな、木刀を使うのなんて。
あの日以来だな。
俺は木刀を構える。
土方も木刀を両手で持ち構える。
「じゃあ……行くぞ…!」
「フッ、来い」
土方は床を蹴り、こっちに走って向かってきた。