変わりゆく華たち 第一幕 散ル華
この機会を逃がさねぇ【土方目線】
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「じゃあ……行くぞ…!」
俺は両手で握っている木刀を握りなおす。
「フッ、来い」
あいつは鼻で笑いながら木刀を一振りした。
俺はそれと同時に奴に向かって床を蹴った。
ーーーガッ!
奴はそこら辺にいる不逞浪士とは違ってそう簡単に殺られねぇらしい。
まあ、そりゃそうだよな。
昨日あれだけの不逞浪士を斬ったんだ。
何があったかなんか知れねぇが、あれだけ道を赤く染めたんだ。
相当の腕が立つんだよな。
現に今だって、すげぇ勢いで討ち込んでくるからな。
俺だってやっと追いつく程度だ。
にしても、どこでその剣術を習ったんだ?
俺だっていろんな奴らと戦ってきたが、こいつの流派は見たことがねぇ。
こいつはいったい何が目的でこの町に来たんだ?
わからねぇことが多いが、今はこいつを倒すことだけを考えるとするか。
俺はこいつに振り下ろす木刀に力を入れる。
思ってもみなかったことにこいつは、驚いた顔をし表情を歪める。
「…ッつ!!」
「おらっ!
さっきまでの威勢はどこ行ったんだ?
このままだとお前、おれに殺れれんぞ?」
「うっ、るさい!黙れっ!!」
こいつはそう言うとまた木刀を握り直し、
頭や急所などを次々に狙いこんできた。