上弦の月
偽りの結婚
一晩布団の中で考えた。
そんなにあっさり結婚が決まっていいのかどうか。
でも実際はわたしは子供を産めば役目は終わり、彼ともそれで終わりなのだ。
あんなにカッコ良くて優しい人でよかったではないか。
それに早く結婚も決まってよかった。
これは嬉しいことだと思う。
「おはよ」
教室に着くとちらほら生徒がいて、わたしの前の席は幼稚園から一緒の西島拓馬(にしじまたくま)だ。
ここは付属なので幼稚園から一緒の人も何人かいる。
「柚月なんか元気ない?」
「え?そう?」
「ちゃんと寝た?」
「正直あまり…」
拓馬は唯一わたしのポーカーフェイスを見破る人。
だから拓馬の前では常に正直でならない。