上弦の月
拓馬には寝不足とだけ言って結婚の事は言わなかった。
なんか言えなかった。
「ねえねえ、あそこに高そうな車停まってるよ?」
「ほんとだ!あの人チョーイケメン!!」
クラスの人が騒ぐ中、わたしは嫌な予感がした。
だって彼はまた明日と言っていたから。
窓の外をみていると目があった気がして空してしまった。
その瞬間携帯の着信がなった。
「もしもし」
『今見てたよね?迎えに来たんだけどまだ終わらない?
ここにいるの結構恥ずかしんだよね』
「あと5分くらいで終わるのですぐいきます」
恥ずかしいなら待っていなくても。
なんで彼は来たのだろうか。
なんかわたしに用があるのかも。