上弦の月
「ねぇ、さっきからどうしたの?」
「え?」
「なんか考え事してるでしょ?悩みとか?俺でよかったら相談のるけど」
「いえ、ただやっぱり遥歩さんは大人だなって。わたしには届きそうもない遠くにいる気がして・・・あっなんでもないです!!忘れてください!!」
わたしったら何言ってんの?!
恥ずかしい、馬鹿だ。
言ったって、本音言ったって重いって思われるだけだ。
柚木はいい子だから我慢できるよねって言われるんだ。
そう、わたしはいい子。
だから一人で頑張れる・・・。
「そんなことないよ。大人じゃないよ。柚木も大人に見えるのにね、俺と同じ子供だ。だから俺と柚月は二人で一つ、そういうこと」
「どういうことですか・・・?」
「んーどういうことだろうね?」
そう言うと遥歩さんはおでこに優しくチュとキスをしてエレベーターから出て行った。
「い、いみわかんない・・・」
謎だよ、なんなの。