上弦の月
「お前ももう16だ。早いもんだな。早く孫の顔を見せてくれ」
「パパ、気が早いよ。まだ高校に上がったばかりだよ?」
「そんなことない。近々お見合いを予定しているんだ」
「うん、わかった。会ってみる」
わたしは期待にしか答えることが出来ない子供なんだ。
パパがやれと言うことはすべてやり、テストも運動もパパが恥じないように人並み以上に頑張った。
わたしはこの春から私立の名門校に通うことになっている。
わたしの気持ちはどうでもいい、パパが喜べばそれでいいと自分の気持を隠して生活してきた。
友達だってそこそこいる。
先生にだって慕われていた。
なに一つ不自由などなかった。