上弦の月


買い物を終え、マンションへ急いだ。


人通りの少ない薄暗い道は不気味だった。


前を歩く男の人、さっきからこっちをチラチラ見ている。

気のせいかも、それとも道を聞きたいのかも。


そんな事を考えていた私はなんてお人好しなんだろうと思う。



その人の前に来たとき彼は私の顔をガン見していた。

やっぱり道を聞きたいのかな、そう思った私は目があったまま離せなかった。



そしてその人は私のまえに来たとき、握りこぶしを振り上げた。


「ヒィィ!!」


あまりにも突然で頭がついていかなくて小さな悲鳴をあげた。



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