上弦の月
繋がりの過去
真っ暗な部屋、何も見えない。
そこに少女が1人。
ドアに向かって叩く。
誰も返事がしない。
「誰も助けになんかこないよヒヒヒヒ」
どこからかおじさんのニタニタと笑う声が聞こえる。
気持ち悪い、来ないで。
少女の細い腕に誰かの汗ばんだ手が当たる。
やめて…やめて…
「おじさんの苦しみがわかるかな?」
「し、しらない…!」
「その代償を君が払ってくれるのか?」
おじさんは少女の肩を掴む。
「や、やだ…」
息の洗い呼吸、近づく気配。
少女は壁に押し付けられ迫るおじさん。
顔の前まで来る大きな顔と、暗いはずなのに少し見える大きく見開かれた目。
恨み、憎しみ、欲望、そういったものが露わになっているような気持ちが悪い目。
「……ゃ…めて」
気持ち悪い、やめて。
おじさんは力強く右手を振り上げた。
少女は目を瞑る事ができず大きく見開いた。