上弦の月



「…はぁ、はぁはぁ」

夢……。


また、この夢か。


いくつか繰り返す夢がある。


これは小学生の時からの夢。


「…ぅ……っ」

必ず悪夢にうなされた後は気持ちが悪くなる。



飲み物を飲めばよくなるかもと思いリビングに向かった。

部屋をでる前に時計を見ると3時をさしていた。


あと3時間しか寝れないのか…。


そんな事を思っていた私はどこか余裕だったのかも。


リビングで水を飲み座っている方が楽かもしれないと思い壁に寄りかかって目を瞑った。



うぅ、気持ち悪い。

なんであの夢みたのかな、不安定だったからかな。

少女が掴まれた腕、肩、身体全てに鳥肌がたつ。



「…柚月?」


あれ、なんな遥歩さんの声が聞こえる?


「柚月?!」

今度は焦ったような声。

目を開けると遥歩さんが大丈夫か?と言っていた。



「気分悪いのか?顔色が真っ青だ」

「あ…少し気持ちが悪いだけで」

「そうか、ちょっと運ぶぞ」

「…え?」


そう言って私をヒョイっと持ち上げて自分のベットに寝かせた。


「ねている方が楽だろう」

まぁそうかもしれないけど…。


「部屋で寝ます!」

「だーめ、心配だもん」

「もう、大丈夫ですから」

「怖い夢見たんじゃないの?」

「え…?」

何でしってるの?

遥歩さんはエスパー?



「さ、寝なよ」


そう言って頭を撫でた。

私が眠るまでずっと撫でていた。


それがなぜが心地よくて懐かしかった。






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