Crescent
「知ってるよ。
有名なミステリー作家でしょ。
時々、雑誌にエッセイなんかも載せてるみたいだよ」
そうなんだ。
会うのが楽しみになって来た。
澤野さんにアンジュに行くと電話をした。
金曜日に行く事を決めて電話を切った。
そして金曜日になり仕事が終わった後バスに乗り駅で降りてアンジュに向かった。
久しぶりのアンジュの入り口に立った。
ちょっと緊張しつつ中に入る。
カウンターに立っていた真下さんと目が合った。
大丈夫。
睨まれても、もう気にしない。
そのまま進んでカウンターまで行った。
「澤野さんと約束しているんです。
呼んでもらえますか?」
「あなた懲りずにまた来たのね。
本当に図々しいわ。
橘様に無理矢理頼まれただけで店長だって迷惑だと思ってるわよ」
「店長を呼んでください。お願いします」
彼女の事は気にしないようにしてもう1度呼んでほしいと言うと真下さんは奥に入って行った。