Crescent



暫くして私を睨みながら出て来た真下さんの後から澤野さんが出て来た。



「琴音ちゃんいらっしゃい。
まだ橘様来てなくてちょっと待ってて貰えるかな」


「分かりました」



ランチ用の椅子に座ると澤野さんは直ぐに紅茶を淹れて持って来た。


「暑いからアイスティーにしたけど飲んで待ってて」


「ちょうど喉が渇いていていたんです。ありがとうございます」


今日も暑くて夕方になっても気温がほとんど下がらず、アンジュに来るまでに喉が渇いてしまっていた。



口の中に入った冷たい液体がスーッと喉を通り喉の渇きが癒された。



カラン、カランと音がして足音が聞こえた。



細身で顔立ちの整った女の人が入って来た。



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