Crescent
「店長ったら何やってるのかな……。
看板を片付けるのにずいぶん時間がかかってるじゃない」
「そうですね」
「ちょっと、店長っ、一人でくつろいでないで話しに加わりなさい」
「いやー、看板を片付けてたら、あまりに楽しそうな笑い声が聞こえてきたから俺がいない方が会話が弾むと思って……」
「嘘ね。
話しに付き合うのが嫌になって逃げたんでしょっ」
「違いますって……。琴音ちゃん、そろそろ帰った方がいいんじゃないか?」
店内の時計を確かめた。
真下さん達が帰ってから一時間以上も経ってたんだ。
「私、帰らないと」
「送ってくからちょっと待ってて」
「店長、私も送ってくれるのよね」
「橘様は、さっき電話がありましたよ。
嘘だったんですね。
今週は仕事がないなんて。
そろそろお迎えが来る頃だと思いますよ」
「睨まないでよ……そう、連絡来ちゃったのね……」
カラン、カランと音がして男の人の声が聞こえた。
「すみません。
橘先生は……」