Crescent
「そうだよな。
勝手に別れるって琴音から離れたんだ。
番号消されたって文句は言えないよな」
「隼人……」
「俺さあ、琴音と別れて後悔してる」
「でも、向こうで彼女が出来たって聞いたよ」
「別れた。
やっぱ琴音じゃないと駄目なんだ」
遅いよ……。
「私は隼人とはもう無理なの」
「そんな事言うなよ。
もう絶対に琴音から離れたりしない。
だからやり直そう」
本当に無理なんだよ。
今は澤野さんでいっぱいなのに。
もう隼人の入る隙間なんてないんだよ。
「好きな人がいるの。
だから隼人とは、やり直せないよ」
「嘘だろう?」
「私、行かないとだから」
「待てよ」
隼人は歩き出した私の腕を掴んだ。
「離してっ」