Crescent


透に呼ばれて出て行くと琴音ちゃんがいていつもと様子が違う気がした。



どれにするか迷っている様子の彼女の持っていたトレーに勝手にオススメのパンを載せた。


「これっ、オススメだよ。
食べてみて」


「あの……澤野さん?」


「次、これもオススメ!
これもねっ」


呆気にとられている彼女を引っ張って移動しながら次々とパンをトレーに置いていった。



「紅茶淹れるから食べてったら?」



琴音ちゃんに選んで貰ったパンを紅茶と一緒に彼女の座っているテーブルに持って行った。



「ゆっくり食べてて俺は奥にいるから」



今日みたいな土日とかのお休みで今の時間はお客があまり来ない時間帯で4時過ぎになるとパンを買いに来てくれるお客でまた込み始める。



今棚に残っている分では足りない。
今の内に焼いておこうとオーブンに入れた。



< 163 / 281 >

この作品をシェア

pagetop