Crescent
再会
三日月の夜の男の人に会いたい気持ちはずっとあったけど、アンジュにはあの日一回行ったきりだった。
今日は一時間残業をして、いつもより一つ遅いバスに乗った。
バスの揺れが心地よくて眠くなってしまった。
降りるバス停まではだいたい15分位乗る。
いつもなら寝たりなんてしないのに。
眠さに負けてつい目を閉じてしまった。
うーん……今、凄く気持ちがいいのに誰なの肩を揺すっているのは……。
「―――さん、お客さん終点ですよ」
「しゅ……うて……ん……?
終点!?」
慌てて目を開けるとバスは止まっていた。