Crescent
そう言って微笑んだ後、みずきさんは私が考えていたことを深く聞いて来る事はなかった。
翌朝、起きると昨日の女の人がもう来て朝食の準備をしていた。
「おはようございます」
「あっ、起きたんですね。
きっと先生はまだ起きない筈だから先に食べますか?」
「橘さんはいつも朝は遅いんですか?」
「そうですね。
夜遅くまで原稿を書いている事も度々なんでって、先生っ!!
どうしちゃったんですか!?」
「何、驚いてるの」
「いや……先生が早く起きたから」
「失礼ねぇ。
今日は一緒に映画に行くのよ、ねぇ?」
「映画……ですか?」
「そうなんです。
急に行く事になって」
「行くなら早い時間が良いと思ったの」