Crescent




直ぐ近くまで来ているのに声を掛ける事が出来なかった。


その人は突然立ち上がって振り返った。

ど、どうしよう……。
なんて言えば……。

声も掛けられず動けないまま立ち尽くしてたらその人から声をかけてきた。



「……キミ、もしかして三日月の夜にここで会わなかったかなぁ?」



その人から声を掛けられた。
やっぱりあの時の人だったんだ。


「あ、は、はいっ。
あの時のパン凄く美味しかったです」


会えて良かった。居ないかもとか思ってたからなんだか嬉しい。


「少しは元気が出た?」


「はい」


「そうか良かった。……ここ座わりなよ」



ベンチまで来て近くでその人の顔を見たら雑誌で見たアンジュの店長だと分かった。


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