Crescent


「大丈夫ですよ。
これ、そんなに重くないんで帰りますね。
ご馳走様でした」


琴音ちゃんは帰ろうとして立ち上がり出入口に歩いて行こうとした。



「琴音さん待ってっ」


真下ちゃんが琴音ちゃんをひき止めた事に驚いた。



「店長、橘様の言う通り今日は販売だけだし暫くは私達だけで何とかなりますよ。
だから琴音さんを送ってあげて下さい」

いつになく強い口調の真下ちゃん。


「みんな店長と琴音ちゃんが前のように戻ってほしいって思ってるんだから」
後ろにいた橘様にそう耳打ちされた。


今を逃したら謝る事も前のように戻るチャンスも、もうないかもしれない。



「琴音ちゃん送ってくよ。
着替えて来るからちょっと待ってて」


店は二人に任せて送って行く事にした。


< 210 / 281 >

この作品をシェア

pagetop