Crescent



「ごめん。
琴音ちゃんの気持ちは受け入れられない」


今、私澤野さんに振られたんだ。
分かっていたことだけど、凄くショックだ。



本当に私を慰める為にしただけで、あのキスには意味なんてなかったんだ。


胸がズキズキと痛い。
辛いよ。
澤野さんの近くにいるのは辛い。



「あのキスは何の意味もなかったんですね?
だったらもう澤野さんとは会いません。

友達として近くにいるのは無理だから」

私は座っていたベンチから立ち上がった。



「澤野さんは私に元気になる魔法をかけてくれた。
……一緒に月を見たり話しをしたり楽しくて、このまま時間が止まればいいのにって……いつも思ってました……」


「待って……琴音ちゃん!」


澤野さんの横に置いてあったバッグを持って公園を足早に出てきた。



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