Crescent



「ちょっと待ってっ、ちょうどいい隼人の事を話したいんだけど」


「何で今さら隼人さんの事なんて。
琴音とは別れたんだからもう関係ないじゃない?」


「友香はちょっと黙ってろ。
琴音ちゃんいいかな?」


前澤さんの目が鋭くなった。
私に対して怒っているようだった。



結局、友香のアパートに寄る事になった。



友香と前澤さんがテーブルを挟んで私の向かい側に座っている。
友香はちょっと不機嫌な顔をしていた。


「せっかく会いに行ったのに隼人の話しを聞いてやらなかったんだって?」


「それは……」


「確かに隼人は勝手だと思う。
別れたのに、またやり直したいなんて言ってさ。

本当に自分勝手だと思う。
だけど帰って来た隼人は琴音ちゃんに逃げられて落ち込んでて見てられなかった」


あの日、前の晩に前澤さんのとこに泊めてもらったって言ってたっけ。


だから前澤さんは私が逃げた後、隼人がどんな状態だったか知ってるんだ。



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