Crescent
琴音ちゃんが出て言った後座り込んだまま動けなかった。
「何で……」
何で俺こんなにショックなんだ……。
最後に見た彼女の顔は泣きそうになってた。
あんな顔をさせてしまったのは俺だ。
カランカランという音と共に入って行くとカウンターに立っていた真下ちゃんは「おかえりなさい」と出迎えてくれた。
テーブルで透と話していた橘様もこっちを見て訊きたそうに口を開きかけたけど。
「琴音ちゃんには謝って来たから」
それだけ言って奥に行った。
みんなが琴音ちゃんと話しが出来るようにしてくれた事には感謝してる。
でも今は誰とも話す気になれない。
「店長?
橘様が帰られるそうです」
「あぁ、今は手が放せないから透、代わりに行ってきてくれ」