Crescent


澤野さんに会えると舞い上がっていた私はアンジュに着くまで、ある人の存在をすっかり忘れていた。


お店の中に入ると、あの真下さんと、すかさず目が合い。


うっっ、こわいっ……。


いつもに況して鋭い瞳で見られた。
思わず立ち止まった私を振り返った友香は怪訝な顔で見た。


「どうしたの?」


何でもないと伝えようと軽く首を振り、視線を感じながらも、もう見返す勇気はなく俯きながら友香の所まで行った。



真下さんの事をすっかり忘れていた。



既に3分の1ほどのテーブルが客で埋まっている。
まだランチの時間は始まったばかりなのに……。


「ここに座ろうか」

「そうだね」



窓際のテーブルに座りテーブルに置いてあるメニューを見た。



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