Crescent
「フラれるとは限らないでしょ?」
「そうだけど……」
多分、告白なんてできそうにない。
また傷つくのが怖い。
だから今は想うだけで……。
「琴音がそう思うのも当然かもね」
「友香?」
「でも、幸せになるチャンスはどこで廻って来るか分からないんだし出会いは大事だよ。
臆病になるのは分かるけど想う気持ちにブレーキを掛ける必要はないからね」
「……うん。
ありがとう」
夕方、友香のアパートから帰る時にバス停までの道を友香も一緒に付いてきてくれた。
暫くしてバスが来て乗った。
「じゃあね」
「また会社で」
家に着いてリビングに入って行くとお姉ちゃんがいた。
「早かったね。
夕飯は食べて来るかと思った」
「私、そんな事お母さんに言ってないよ」
「だって、デートかもってお母さんが言ってたし」
「違うよ。
会社の友達と会って来たの」