Crescent



「男の友達?」


「もう、女の友達に決まってるじゃん」


「いつもよりオシャレしているみたいだからてっきり……。
そういえば前に彼氏らしき人と居るところを見掛けたんだよね。

3月頃かなファミレスから出てきたところを見たんだけど」



多分、隼人の事だ。

「彼とは別れたし今日は本当に友達と会ってただけなんだからっ!!」


「ふーん、そうなんだ。
でも、なんでムキになってるの?」


「別にムキになんか……」


「まぁ、いいけど」

「着替えて来るから」


階段を上がって部屋に入った。



さっきお姉ちゃんが言ってた事は間違ってない。
澤野さんに会える、そう思って服も前の日にかなり迷って選んだ。


化粧だって、いつもより時間がかかった。

お姉ちゃんは私がアンジュに行ったなんて事は知らないけど、あの場に居たらお姉ちゃんの眼力で私の気持ちとかを見透かされそうでムキになって否定して逃げて来ちゃった。



お姉ちゃんには気恥ずかしくてアンジュの店長を好きなんだなんて知られたくない。



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