君と私を、夜空から三日月が見てる
「実家の居心地がいいのはいいけど、朝香が結婚したら、ちゃんと家事ができるかどうか心配」

「一人暮らしも4年目なんで、ちゃんと家事ぐらいできるよ~」

母の言葉に軽く反論しつつ、私は、久々の母の手料理を食べ始めた。
反論したのはいいけど、本当に、母のようにちゃんと家事もして仕事もしてってできるかはどうか、今の自分の能力では、はっきりいって無理だと思う。
でも悔しいから、無理だって絶対言わない。
それを言わない代わりに、ためしにこう母に聞いてみた。

「お母さんてさ、なんでお父さんと結婚したの?」

母は、軽く眉間にしわをよせて苦笑しつつ、お味噌汁を飲む。

「うーん・・・なんでだろうね?
自分でもよくわからないけど、あの当時は、お父さんみたいに、一所懸命仕事する人と結婚するこが幸せなことで、当然なことなんだって思ってたからかな?」

「なにそれ、なんかつまんない」

「つまんない・・・か。
うん・・・朝香にしてみたらそうかもね」

そう言って母は笑った。

東京湾wonderlandで母をハグした男の人が、一体誰で母とどんな関係だったのか、聞いてみたいような気がするけど・・・
とりあえず、今日はやめておこう。


私は、朝の情報番組を観ながらご飯を食べて、いそいそと仕事にいく支度整えたのだった。







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