君と私を、夜空から三日月が見てる
私、長谷川 朝香(はせがわ あさか)、28歳。
自分でいうのもなんだけど・・・私、もてない。
だけど、こんな私でも、好きだと言ってくれる人がいた。
付き合って1年ほどになる彼氏がいたのだ。
そう・・・
彼氏がいる・・・んじゃない、いた、なのだ。
「そろそろ結婚したいな(はーと)」なんて思ってた私を、突然の不幸が襲ったのは先々月のことだった。
見事に振られた!
振られた理由は、彼氏に他に好きな人ができたから・・・だ。
呆然自失で涙も出ず、ぽかーんとしてる私に向って、彼はこう言ったのだ。
『朝香は、俺がいなくてもなんでもできるし、平気だろ?
おまえ、強いしさ。
その人はさ・・・俺がいないとダメな人なんだ。
守ってやりたいんだ。
すげー弱い人だから・・・』
何を言ってるの、この男は・・・?
私だって・・・弱いよ?
こんなに頼って、こんなに好きで、結婚したいなんて夢見てたほど。
そんな私に向って、「その人は俺がいないとダメな人」だと??
いや、待って、私も十分弱いよ。
あなたがいないとダメだよ。
仕事を一所懸命こなすのは、もうそういう性格だからだよ。
気が強いのは元からだよ。
だって実母ですら呆れるほどの気の強さだもん。
負けず嫌いだもん。
だけどね、それって、あなたがいなくてもいいって理由にはならないよ!?
本当はそう言いたかったのに・・・
元から強がりで負けず嫌いな性格が災いして、思わず、こう言ってしまったのだ。
『うん・・・大丈夫だよ。
だって私、あなたよりお金稼いでるし。
別にあなたなんかいなくても生きていけるし、生活もできる。
なんでも誰かに頼ってないと生きていけない女が好きなら、そっちいけば?』
その時、元彼は少し悲しそうな顔して『そうだよな・・・一年間、ありがとう、稼ぎ悪くて頼りない男でごめんな』って言って、私のアパートを出ていった。
玄関を出ていく元彼の背中を見送り、ドアが閉まった3秒後。
私は、顔がぱんぱんに腫れるほど一人で泣いた。
次の日は必死で出勤した。
それこそ、同僚とかパートさんとかがぎょっとするほどに顔が腫れまくりで、本当はショックで仕事なんかできるような状態でもなかったんだけど、それでも、職務を遂行しなければならない責任があるからと、仕事をがんばった。
だけど、二度目の不幸はその日のうちに起こることになった。
たまたま私のセクションに、あの泣く子も黙る鉄の女、人事部の『朝青龍』と呼ばれる人事課長が来ていたことが、この最悪の結果を招くことになった。
「長谷川さんは独身だったっけ?」
突然、通りすがりにそう聞かれて。
ぱんぱんに腫れた顔のまま、はっと『朝青龍』を見上げた私は、思わずこう答えてしまったのだ。
「はい・・・独身です。課長と一緒で結婚の予定はないので、がんがん使ってやってください」
その瞬間、『朝青龍』の顔つきが、まさに般若と化し、オフィスが一瞬で凍りついてしまった。
自分でいうのもなんだけど・・・私、もてない。
だけど、こんな私でも、好きだと言ってくれる人がいた。
付き合って1年ほどになる彼氏がいたのだ。
そう・・・
彼氏がいる・・・んじゃない、いた、なのだ。
「そろそろ結婚したいな(はーと)」なんて思ってた私を、突然の不幸が襲ったのは先々月のことだった。
見事に振られた!
振られた理由は、彼氏に他に好きな人ができたから・・・だ。
呆然自失で涙も出ず、ぽかーんとしてる私に向って、彼はこう言ったのだ。
『朝香は、俺がいなくてもなんでもできるし、平気だろ?
おまえ、強いしさ。
その人はさ・・・俺がいないとダメな人なんだ。
守ってやりたいんだ。
すげー弱い人だから・・・』
何を言ってるの、この男は・・・?
私だって・・・弱いよ?
こんなに頼って、こんなに好きで、結婚したいなんて夢見てたほど。
そんな私に向って、「その人は俺がいないとダメな人」だと??
いや、待って、私も十分弱いよ。
あなたがいないとダメだよ。
仕事を一所懸命こなすのは、もうそういう性格だからだよ。
気が強いのは元からだよ。
だって実母ですら呆れるほどの気の強さだもん。
負けず嫌いだもん。
だけどね、それって、あなたがいなくてもいいって理由にはならないよ!?
本当はそう言いたかったのに・・・
元から強がりで負けず嫌いな性格が災いして、思わず、こう言ってしまったのだ。
『うん・・・大丈夫だよ。
だって私、あなたよりお金稼いでるし。
別にあなたなんかいなくても生きていけるし、生活もできる。
なんでも誰かに頼ってないと生きていけない女が好きなら、そっちいけば?』
その時、元彼は少し悲しそうな顔して『そうだよな・・・一年間、ありがとう、稼ぎ悪くて頼りない男でごめんな』って言って、私のアパートを出ていった。
玄関を出ていく元彼の背中を見送り、ドアが閉まった3秒後。
私は、顔がぱんぱんに腫れるほど一人で泣いた。
次の日は必死で出勤した。
それこそ、同僚とかパートさんとかがぎょっとするほどに顔が腫れまくりで、本当はショックで仕事なんかできるような状態でもなかったんだけど、それでも、職務を遂行しなければならない責任があるからと、仕事をがんばった。
だけど、二度目の不幸はその日のうちに起こることになった。
たまたま私のセクションに、あの泣く子も黙る鉄の女、人事部の『朝青龍』と呼ばれる人事課長が来ていたことが、この最悪の結果を招くことになった。
「長谷川さんは独身だったっけ?」
突然、通りすがりにそう聞かれて。
ぱんぱんに腫れた顔のまま、はっと『朝青龍』を見上げた私は、思わずこう答えてしまったのだ。
「はい・・・独身です。課長と一緒で結婚の予定はないので、がんがん使ってやってください」
その瞬間、『朝青龍』の顔つきが、まさに般若と化し、オフィスが一瞬で凍りついてしまった。