君と私を、夜空から三日月が見てる
ひゅるる~ってなんだか不気味な音を上げて、晩春のぬるい風が、がらーんとした屋上駐車場を吹き抜けていく。
閉店間際で、時間はすでに21時。
お客様の車は、この時間、すでにぽつんぽつんとしかなく、私がゴミを回収するする辺りにいたっては、それこそ一台二台の車があるのみ・・・・!!

「ちょ・・・なにこれ、なんか怖い・・・!」

思わずそんなこと独り言を言ってしまう私。
少し遠く見える市街地の夜景が、きらきらしてて綺麗ではあるけど・・・・
なんか・・・

これだけの広いスペースに、誰の姿もないとか・・・
ほんと・・・
怖いよね・・・
しかも夜だし・・・
風はぬるいし・・・
不気味だし・・・
何か出そうだよ!!!!!!

私は、うぅ・・っと唸りつつも、とりあえず、エレベーター前のゴミを回収して、ハンディクリーナーでエレベーターホールの床の埃を吸い取って歩く。

エレベーターはここだけではなくて、第二エレベーターと呼ばれてる建物の南側のエレベーターもあるし、エスカレーターも二基あるから、全部で四箇所のゴミを回収して、掃除して回らないといけない。

第一エレベーターである北側のエレベーターホールが終わったので、今度は、調度真向かいの位置にある、第一エスカレーターへと、駐車場を横切るように歩いて向っていった。
そんな私の髪を、急に吹き付けた突風がぶわっと舞い上げる。

「くぅ・・・っ!
もう!髪ぐちゃぐちゃ~・・・・!」

でも風が強いのもそのはず、この屋上駐車場は、フロアとしては6階にあたるけど、実際の高さは10階建てのビルに相当するからね。
ショッピングモールだから、天井がわざと高く造ってあるんで、そのせいで6階になってるだけの話なんだよね。

「ああ、もう、やっぱり柿坂君に来てもらうんだったな・・・」

今さらそんなことを後悔しても・・・もう遅いよね。
こんなことで助けを呼ぶのも癪なので・・・
全部一人で作業するもんね!!

私が、第一エスカレーターの自動ドアの前に来たときだった。

なんか・・・
コツンコツンって・・・
誰かの足音が聞こえたような気がして・・・
ふと、後ろを振り返ると・・・

誰もいない・・・・!!

がらーんと空いた駐車スペースにひゅるるる~って音を立てて風が吹いてるだけ。

ナニコレ怖い・・・!!!
ま・・・まさか・・・
ゆ、幽霊・・・・!?

私は、背筋をぞーっとさせながら、あわててエスカレーターの風除室に飛び込んだ。
そうなのだ、これだけの巨大ショッピングモールだ、怪談話の10や20あるに決まってる!
私も聞いたことある。

そういえば・・・
屋上って・・・

何か出るんじゃなかったっけ!?

ひーっ・・・・!

私は、ぞくぞくする背筋をもぞもぞをくねらせながら、あわててゴミの回収を始めた。
その時だった・・・

いきなり・・・
背後で・・・

自動ドアが開く音が・・・・!!!



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