君と私を、夜空から三日月が見てる
まるで子犬のように、漫画のようにぴょんってジャンプして、柿坂君の高い位置にある首元にどーんて、思い切り抱きついたの!!
私はその光景を見て、思わずぽかーんとしてしまう。
抱きつかれた柿坂君も、ぽかーんとしている。
なんだ・・・
何が起こった!?
え・・・?
誰、この女の子!?
「な・・・菜月ちゃん・・・?」
ぽつんと、柿坂君がそう口にした。
私は、ハッとして柿坂君の顔をみて、その後で、いまだに柿坂君の首に抱きついている女の子の顔を見る。
彼女は、そこでやっと柿坂君から離れて、まったく悪びれる様子もなく満面の笑顔のまま言うのだった。
「きゃ~~!ひさしぶり~!
相変わらずかっこいいよね!!
こんなとこで会うなんて・・・・!
え?なになに?かいりは買い物しにきたの!?」
柿坂君は、どこか戸惑ったような表情をしながら、まじまじとその子を見つめている。
状況をあまり把握しきれていないまま、彼の綺麗な唇が静かに開いた。
「いや・・・働いてる・・・ここで・・・」
「え!?ほんと!?どこのショップで?!」
「ショップじゃない・・・よ」
「え????」
柿坂君が、菜月と呼んだその子が、きょとんと目を丸くした。
しかし、その次の瞬間、彼女のスマホのLINEが鳴る。
彼女は、スマホの画面を確認すると、小さく「あ!ヤバイ!」って口にして、もう一度柿坂君の顔を見上げたのだった。
「モールで働いてるならまた会えるね!ちょっと用事あるからもう行くね!ばいばい!」
まるで天使のようににっこり笑った彼女。
その視線が、傍らできょとんとしてる私を見る。
彼女は、どこかのえりか様とまったく違って、それこそくったくなく「おつかれさまでした!」って笑顔で言うと、軽く会釈して、同僚とおぼしきもう一人の女の子と駅の方へ歩いていってしまった。
取り残された私と柿坂君は、そこに立ち止まったまま3秒ほどぽかーんとする。
ひゅるる~って風の音を聴いてハッとした私は、いまだにぽかーんとしてる柿坂君を見た。
「・・・・あの子、誰????」
私の問いかけに、柿坂君は、ぴくって広い肩を震わせると、まるで現実に引き戻されたかのような表情になって、唇のすみっこで苦笑しつつ言うのだ。
「ああ・・・あれは・・・・
元カノです・・・・」
「え!!?」
「HPで散々悪口書かれて鬱っぽくなっちゃった・・・例の彼女っす」
「うわ・・・ま、まじですか?!」
「まじっす・・・・」
なんとなく切なそうな表情で、小さく笑った柿坂君を見て、大人な私は、気づいてしまったのだ。
ああ・・・
柿坂君は・・・
ほんとは、あの子と、別れたくなかったんだなって・・・
ああいう風に突然抱きつかれたりしたら、多分、いつもの彼ならするって上手く腕を払いそうなのに、今夜の彼は、そんな仕草も一切見せなかった。
それに気づいてしまったら、なんだかおかしなことに、私の胸の奥の下の方のピンポイントがちくって痛くなった。
今日、彼が私をハグしてくれたのは、単純に私があんな目にあったからだったんだなって・・・
そう思ったら、今度は胸の奥の脇のほうのピンポイントが、もやもやしてきてしまった。
うーん・・・
おねーさんなのに・・・
私・・・
なんだろう・・・
これ・・・
これってなんだろう・・・
うーん・・・
切なそうな表情で笑う柿坂君と、なんだかちくちくもやもやしてる私は、まるで夜の帳の中に置いていかれたように、しばらくそこに突っ立っていた。
私はその光景を見て、思わずぽかーんとしてしまう。
抱きつかれた柿坂君も、ぽかーんとしている。
なんだ・・・
何が起こった!?
え・・・?
誰、この女の子!?
「な・・・菜月ちゃん・・・?」
ぽつんと、柿坂君がそう口にした。
私は、ハッとして柿坂君の顔をみて、その後で、いまだに柿坂君の首に抱きついている女の子の顔を見る。
彼女は、そこでやっと柿坂君から離れて、まったく悪びれる様子もなく満面の笑顔のまま言うのだった。
「きゃ~~!ひさしぶり~!
相変わらずかっこいいよね!!
こんなとこで会うなんて・・・・!
え?なになに?かいりは買い物しにきたの!?」
柿坂君は、どこか戸惑ったような表情をしながら、まじまじとその子を見つめている。
状況をあまり把握しきれていないまま、彼の綺麗な唇が静かに開いた。
「いや・・・働いてる・・・ここで・・・」
「え!?ほんと!?どこのショップで?!」
「ショップじゃない・・・よ」
「え????」
柿坂君が、菜月と呼んだその子が、きょとんと目を丸くした。
しかし、その次の瞬間、彼女のスマホのLINEが鳴る。
彼女は、スマホの画面を確認すると、小さく「あ!ヤバイ!」って口にして、もう一度柿坂君の顔を見上げたのだった。
「モールで働いてるならまた会えるね!ちょっと用事あるからもう行くね!ばいばい!」
まるで天使のようににっこり笑った彼女。
その視線が、傍らできょとんとしてる私を見る。
彼女は、どこかのえりか様とまったく違って、それこそくったくなく「おつかれさまでした!」って笑顔で言うと、軽く会釈して、同僚とおぼしきもう一人の女の子と駅の方へ歩いていってしまった。
取り残された私と柿坂君は、そこに立ち止まったまま3秒ほどぽかーんとする。
ひゅるる~って風の音を聴いてハッとした私は、いまだにぽかーんとしてる柿坂君を見た。
「・・・・あの子、誰????」
私の問いかけに、柿坂君は、ぴくって広い肩を震わせると、まるで現実に引き戻されたかのような表情になって、唇のすみっこで苦笑しつつ言うのだ。
「ああ・・・あれは・・・・
元カノです・・・・」
「え!!?」
「HPで散々悪口書かれて鬱っぽくなっちゃった・・・例の彼女っす」
「うわ・・・ま、まじですか?!」
「まじっす・・・・」
なんとなく切なそうな表情で、小さく笑った柿坂君を見て、大人な私は、気づいてしまったのだ。
ああ・・・
柿坂君は・・・
ほんとは、あの子と、別れたくなかったんだなって・・・
ああいう風に突然抱きつかれたりしたら、多分、いつもの彼ならするって上手く腕を払いそうなのに、今夜の彼は、そんな仕草も一切見せなかった。
それに気づいてしまったら、なんだかおかしなことに、私の胸の奥の下の方のピンポイントがちくって痛くなった。
今日、彼が私をハグしてくれたのは、単純に私があんな目にあったからだったんだなって・・・
そう思ったら、今度は胸の奥の脇のほうのピンポイントが、もやもやしてきてしまった。
うーん・・・
おねーさんなのに・・・
私・・・
なんだろう・・・
これ・・・
これってなんだろう・・・
うーん・・・
切なそうな表情で笑う柿坂君と、なんだかちくちくもやもやしてる私は、まるで夜の帳の中に置いていかれたように、しばらくそこに突っ立っていた。