君と私を、夜空から三日月が見てる
【ACT5】 いくら年上のお姉さんだって、たまには拗ねたくもなるよね!?
柿坂君によく似たその人は、切なそうに微笑して、母の名前を呼んだ・・・

「清美さん・・・」と。

若かった母は、とめどなく涙をこぼしたまま、そんな彼の背中に手を回すでもなく、じっとハグされていた。


ふと思うのだ・・・
あの時、母は・・・
何故、あの人の背中に手を回して、ぎゅうって抱きつくことをしなかったのだろう?って・・・


あれは母なりの節制だったのだろうか・・・・?
まかりなりにも、結婚して子供のいる身の上で、明らかに年下であろうあの人に遠慮でもしたのだろうか・・・?


そもそも、あの人は、見るからに王子様で、どこか普通の人とは違うオーラを放ってた気がする。
当時専業主婦で、平凡すぎるほど平凡な母にはまったくもって似合わな過ぎだ。

誰もが魅了されるような完璧とも言うべきルックスの王子様と、日々メイドのように父にこき使われる平凡な母。


そう・・・
誰が見たって・・・
似合わないよね・・・

ああ・・・
なんだろう・・・
切ない・・・


考えてみれば・・・

いや、考えるまでもなく・・・
草食系王子の柿坂君と、強がり女騎士の私だって、まったくつり合ってもいないよね・・・


馬鹿みたい・・・
一体私は、何を期待してたんだろう・・・?





なんだかよくわからないけど、お姉さんは、とてつもなく落ち込んだぞ!!!











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