駆逐系男子【更新再開】
心臓がドクドクと早鐘を打つ。
何だか、夢の中にいるような気がしてきた。
目の前にいるタキシード姿のカッコいい彼。
ドレスを着た私。
まるでおとぎ話の王子様とお姫様みたい、なんて普段は考えないことまで思ってしまうくらいだから。
「……吉良くんは、王子様なの?」
「僕は、そんないい人じゃ……でも、君の王子様にだったら、なりたいかな。
僕と踊って頂けますか?お姫様」
「私、ダンスなんて……」
「ふふ、僕も習ったことないよ。君があんまりにも可愛いから、ついね」
ここはお城ではないし、私たちは物語の王子様とお姫様でもないけれど……
もう少しだけ、このままふたりきりの時間が続けばいいなと思った。