駆逐系男子【更新再開】
いつもは吉良くんが私の下駄箱に来るまでに紙を直すことが出来ているんだけど……
とにかく、なんとかしなきゃ。
私は手に持った紙を咄嗟に握って後ろ手に隠す。
知られたくない、吉良くんにだけは。
きっと吉良くんは私のために何とかしようとしてくれるから。
いつまでも、吉良くんにばかり頼っていてはダメだもの。
「今日、クラスの人に授業ノートを貸していて……そのお礼が書かれた紙が下駄箱に」
目を逸らしたら怪しまれる、というのはよく聞くが
逆にずっと見つめ続けるのも怪しいような気がして私は視線を少し彷徨わせる。
「……そう。君はやっぱり優しい子だね」