ファンレター
わからない。
どうしてこんなに腹が立つのか。
悔しいくらい、泣きたくなるのか。
十に対してなのか、それとも十との仲を隠しているもどかしさなのか。
ただ、いつも十にはきつく当たってしまうばかりだった。
今だって、自分ではもう止められなくて…。
「もう、十のバカ!」
自分がどうしたいのかさえ、わからない。
「…っ、なんでいつもそんなんだよ!」
「…!」
急に息が詰まって、懐かしい香りに包まれた。
十に抱き締められる私。
十って、こんなに背が高かったっけ。
顔が熱くて、心臓がバクバクして。
……こんなこと、あるはずないのに。
私が十に、ドキドキするなんて。