ファンレター



フロントの前を、知らぬ顔で通り過ぎた。

コソコソするのはよけいに怪しい。

エレベーターを使うと、開いた時の様子を確認できないと思って、私は階段を利用して宿泊場所まで戻った。



それほど大きくもない七階建てのホテル。

シンと静まり返った廊下の時計は、11時に近付いてた。





見回りは、もう終わってしまったかな。

それとも途中かもしれない。

バッタリ教師たちに合ってしまわないよう、慎重に行動した。





そして運のいいことに、無事自分の部屋の扉まで辿り着くと、中からは山口の声がする。

さっきまでの天国から、一気に地獄へ落されたように、全身頭から冷や汗が流れた。

これはまずい。



「今度という今度は許さんぞ。覚悟しろ!」



まったくもって覚悟を決めた私は、外側の扉をゆっくり開けた。

すると内扉の前に、紙袋と貼紙があった。





< 140 / 218 >

この作品をシェア

pagetop