ファンレター
フロントの前を、知らぬ顔で通り過ぎた。
コソコソするのはよけいに怪しい。
エレベーターを使うと、開いた時の様子を確認できないと思って、私は階段を利用して宿泊場所まで戻った。
それほど大きくもない七階建てのホテル。
シンと静まり返った廊下の時計は、11時に近付いてた。
見回りは、もう終わってしまったかな。
それとも途中かもしれない。
バッタリ教師たちに合ってしまわないよう、慎重に行動した。
そして運のいいことに、無事自分の部屋の扉まで辿り着くと、中からは山口の声がする。
さっきまでの天国から、一気に地獄へ落されたように、全身頭から冷や汗が流れた。
これはまずい。
「今度という今度は許さんぞ。覚悟しろ!」
まったくもって覚悟を決めた私は、外側の扉をゆっくり開けた。
すると内扉の前に、紙袋と貼紙があった。