ファンレター




門の前には、腕組みをした山口が獲物を待ち構える猛獣のように、鋭い目つきで立ってた。

そういえば、今まで遅刻をしたことなんてなかったけど、職員室前の廊下に十分間正座させられることは知ってる。

慣れとは恐ろしいもので、私はある程度の山口の罰になら、免疫が付き始めてた。



「おはようございます。えへっ、正座ですよね」



上目遣いで、ご機嫌を伺ってみる。

多美ほどうまくはやれないけど…。



「羽田、そのまま生徒指導室に来い」


「へっ?」



急ぎ足で、門を抜けて走って行く遅刻メンバー。

え? 私だけ?







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