ファンレター
間違いなく、記者に違いない。
どう頼む?
いくら出せば、記事を書かないでくれる?
そういう世界の金額には、見当もつかない。
「確かにまずいことになったわね。十くんの顔も広がりつつあるから、かなり大きく書かれるかもよ」
さすがの多美も、太刀打ちの方法を思いつかない様子だった。
「とりあえず動くには山口が邪魔だから、私は一旦帰るよ。それからちょっと探ってみる」
「私も行く?」
「ううん、多美には明日報告するから。他にも行く所あるし」
「そっか、わかった。気をつけて!」
「うん」
いつの間にか私にも、ちょっとだけ自信がついたみたいだ。
十のためって、思うからかな。
十の立場を守らなきゃって、そう思うから。
そうだ、おじさんに用意してもらってる週刊誌にも、何かヒントが見つかるかもしれない。
布施原さんのことが知りたくて、読んでみようと思った雑誌だけど、こんなことになるなんて…
今と二十年前の記者とは、全然違うかもしれないけれど、きっと好むネタは同じはずだよ。
何か交換できるネタがあれば…。