ファンレター
援助交際?
親子?
どちらとも勘違いされたくない山口との帰り道。
私たちを目撃した本屋のおじさんの表情は、なんとも言えず哀れんだ雰囲気だった。
おじさん…、まさか勘違いしてないよね。
私は、後から行くねと、おじさんに身ぶりで合図をした。
紺色のスーツを着た人が本屋に入ると、おじさんは接客にまわった。
私は山口に懇願して、電車では隣に座らないでもらった。
近所の人には勘違いされたくない。
家の屋根が見える所まで来ると、私は山口に礼を言った。
玄関の中までと言う山口を押し切るのには苦労したけど、なんとか言い包めると、山口は少し離れた所で私が家の門に入るのを見守ってた。
私は急ぐ心を落ちつかせて、山口が学校に戻って行くのを見届ける。
そして家には入らず、そのまま再び門を出ようとした。
すると
目の前に突然、背の高い男の人が現れた。
スーツ姿の…、さっき本屋で見かけた人だ。
「羽田 涼さんだね」
記者か……!?
「はい…」
「はじめまして。尾根と申します」
尾根…
名刺を出された。
十のマネージャーだ。