ファンレター
「十のお仕事を取って来ることとか、身の回りの管理もしたりするんでしょ。でも、マネージャーでも立ち入れない所もあると思います。プライベートな部分だってあるし…」
尾根さんは小さく息を吐いた。
「マネージャーにとって、タレントや役者は恋人のようなものです。いつでもそばにいて、何ものからも守ってやる。成功するカギは、マネージャーにかかっていると言っても過言ではない。
彼らを売るためなら、どんなことでもやる、やることができる。それがマネージャーです。
加えて私は、事務所を支える人間でもあります。事務所にとって、彼らは商品であり宝です。タレントや役者には、多くの人に夢や感動を与えられる可能性があり、十にはそれができる。そしてマネージャーとしても、彼にそのチャンスをできる限り多く与えてやりたい。
涼さん、あなたが十を大切に思ってくださるのと同じように、私達も彼を大切に思っています。そして必要としています。
十自身が芸能界で歩んでいくことを望む以上、私には彼を守ってやる義務がある。あなたが芸能活動の邪魔になると判断すれば、私はなんとしてもあなたを十から遠ざけなければなりません。
それを十が望まなくてもです。
私の言いたいことを、分かっていただけますか」